赤白赤の国旗はどこの国?オーストリアやペルー等の違いと見分け方を解説
国際的なスポーツ中継や世界ニュースの画面に「赤・白・赤」の鮮烈なストライプが映し出された瞬間、「これはオーストリアだったか、それともペルーやラトビアだったか」と判断に迷った経験を持つ方は少なくありません。シンプルでありながら強い印象を放つ赤白赤の配色は、ヨーロッパから中東、南北アメリカ大陸に至るまで、世界各地の主権国家によって広く採用されています。
一見すると極めて似通ったデザインに見えますが、縞の方向(横縞か縦縞か)や中央に配置された紋章の有無、さらには赤の色彩トーンや分割比率に至るまで、それぞれの国旗には明確な差異と固有の歴史的ドラマが刻み込まれています。本稿では、旗章学(ベキシロロジー)の専門的知見と歴史的公文書の記録を紐解きながら、赤白赤の国旗を持つ代表国の決定的な見分け方とデザインの深層を体系的に解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:赤白赤の国旗は「横縞(オーストリア・ラトビア・レバノン)」と「縦縞(ペルー・カナダ)」に大別され、ストライプの向きとシンボルで即座に判別できる。
- 要点2:無地の横縞であるオーストリア(鮮紅・等幅1:1:1)とラトビア(濃い栗色・幅2:1:2)は、赤の色合いと中央の白線の細さで見分ける。
- 要点3:レバノンのレバノン杉やカナダのサトウカエデ、ペルーの国章など、中央のマークには国家の存亡や自然への敬意を示す深い由来が存在する。
【一目でわかる】「赤白赤の国旗」はどこの国?横縞・縦縞の代表国一覧
世界に存在する国旗の中で、「赤・白・赤」の3層構造を持つ国は主に5カ国が存在します。識別を行う際の第一歩は、ストライプの方向が「横縞(ホリゾンタル)」であるか、あるいは「縦縞(バーティカル)」であるかを確認することです。
横縞のグループには、中央ヨーロッパのオーストリア共和国、バルト三国の一角であるラトビア共和国、中東に位置するレバノン共和国が属しています。一方、縦縞のグループには、南米のペルー共和国や北米のカナダ(中央に広幅の白地とカエデを配置)が挙げられます。
なお、赤と白で構成される国旗としてはインドネシアやモナコ、ポーランドも有名ですが、これらは2分割(赤白または白赤)の構成であり、3層からなる赤白赤のストライプとは明確に区別されます。

【徹底比較】赤白赤の国旗を持つ主要国データ一覧表
国際標準化機構(ISO)の規定や各国の国旗制定法に基づく客観的な仕様データを整理しました。比率や色彩の厳密な規定を知ることで、視覚的な識別が極めて容易になります。
| 国名 | 縞の方向と比率 | 色彩・特徴の詳細データ | 編集部の見解・識別ポイント |
|---|---|---|---|
| オーストリア | 横縞(縦横比 2:3) 縞の幅=1:1:1(均等) | 鮮やかな標準的レッド 無地(公用旗は黒鷲の紋章入り) | 赤白赤の代表格。三分割が完全な等幅であればオーストリアと即断可能。 |
| ラトビア | 横縞(縦横比 1:2) 縞の幅=2:1:2(白が狭い) | 深みのある栗色(カーマインレッド/Pantone 1807C) 細い白線 | 横長で赤みが暗く、中央の白が細い。オーストリアとの混同注意度ナンバーワン。 |
| ペルー | 縦縞(縦横比 2:3) 縞の幅=1:1:1(均等) | 鮮明な赤と白の縦三分割 民間旗は無地、政府・軍用旗は中央に国章 | 赤白赤の「縦縞」を見たらまずペルー。公共機関の映像では紋章付きが頻出。 |
| レバノン | 横縞(縦横比 2:3) 縞の幅=1:2:1(白が広い) | 中央の幅広の白地に緑色の「レバノン杉」を配置 | 緑の樹木シンボルが最大の識別子。赤の面積より中央の白地が2倍広い。 |
| カナダ | 縦縞(縦横比 1:2) 縞の幅=1:2:1(白が正方形) | 中央の白い正方形部分に11の角を持つ赤いサトウカエデの葉 | 通称「メイプルリーフ旗」。左右の赤と中央の白地による変形縦縞構造。 |
横縞の赤白赤|オーストリアとラトビアの決定的な見分け方と歴史の真相
国際大会やニュースで最も混同されやすいのが、オーストリア国旗とラトビア国旗の識別です。どちらもマークのないシンプルな「赤白赤の横縞」ですが、制定の背景にある歴史的伝承とデザイン規約には大きな開きがあります。
オーストリア国旗:中世十字軍の「返り血」伝説と等幅ストライプ
オーストリア国旗の起源は、デンマーク国旗と並び現存する世界最古級のデザインの一つとされています。公式記録や中世の伝承によると、1191年の第3回十字軍におけるアッコン包囲戦において、バーベンベルク家の君主レオポルト5世が激戦を繰り広げた際、純白の軍服(チュニック)が敵味方の返り血で真っ赤に染まりました。戦いが終わり腰のベルトを外したところ、その帯の下だけが奇跡的に純白のまま残っていたという逸話が、この「赤・白・赤」の原型とされています。
デザイン上の特徴は、縦横比が2:3であり、3本の帯の幅が完全に1:1:1の等分割である点です。使用される赤は鮮やかな標準的レッドで、明るく力強い印象を与えます。
ラトビア国旗:13世紀の年代記が記す「族長の血」と独特のカーマイン
ラトビア国旗もまた、13世紀中世の騎士団年代記『リヴォニア年代記』に記述が残る極めて古い歴史を持ちます。伝説では、ラトビア人の部族長が戦いで致命傷を負い、純白の布の上に横たえられた際、彼の流した血が布の両端を赤く染め、体が置かれていた中央部分だけが白い線として残ったと伝えられています。
オーストリアとの決定的な違いは以下の2点です:
- 色彩の違い:ラトビア国旗の赤は「ラトビアン・レッド(Latvian Red)」と呼ばれる特殊な色合いで、一般的な赤よりも暗く深みのあるカーマインレッド(栗色に近い濃赤色/Pantone 1807C)が法的に指定されています。
- 比率の違い:全体の縦横比は細長い1:2であり、縞の比率は上から「2 : 1 : 2」となっています。中央の白い帯がオーストリアに比べて明らかに細いのが外見上の決定打です。

縦縞の赤白赤|ペルーとカナダの構造的差異とマーク・紋章の意味
画面に「縦縞」の赤白赤が映し出された場合、対象は南北アメリカ大陸の国家へと絞り込まれます。
ペルー国旗:解放者が見たフラミンゴの飛翔と国章の使い分け
ペルーの赤白赤は、1820年に南米の解放者ホセ・デ・サン・マルティン将軍が率いる解放軍がピスコの海岸に上陸した際、青空を舞う「羽が赤く胸が白いフラミンゴ(パリワナ)」の群れを見て自由の象徴として感銘を受けたことに由来します。
ペルー国旗には用途に応じた明確なバリエーションが存在します:
- 民間旗(Bandera Nacional):一般市民や民間企業が掲揚するもので、マークのないシンプルな赤白赤の縦等分割。
- 公用旗・軍用旗(Pabellón Nacional):政府機関、大統領府、軍隊などで掲げられるもので、中央の白地にペルーの国章(Escudo de Armas)が描かれています。国章には、動物資源を象徴する「ビクーニャ」、植物資源を代表する薬木「キナの木」、鉱物資源の豊かさを示す「金貨を溢れさせる角(コルヌコピア)」が配置されています。
カナダ国旗:1965年の「大国旗論争」を経て誕生したメイプルリーフ
カナダ国旗(通称:The Maple Leaf)は、左右の赤い帯と中央の広い白地で構成される変形縦縞です。この白地部分は「カナディアン・ペイル(Canadian pale)」と呼ばれ、左右の赤帯の幅を各1とした場合、中央の白は2倍(正方形)の幅を持ちます。
かつて英領時代のユニオンジャックを配したレッド・エンサインを使用していたカナダは、1964年から1965年にかけて国会で激しい「大国旗論争」を展開しました。英系・仏系双方の対立を超越する真の国民統合のシンボルとして、18世紀から自国のアイデンティティであった「サトウカエデ(11の頂点を持つ赤い葉)」が中央に据えられ、1965年2月15日にエリザベス2世女王の承認のもと正式公布されました。
シンボル入り横縞|レバノン国旗に刻まれた不屈の歴史と由来
横縞の赤白赤で、中央に鮮烈なグリーンのシンボルが描かれている場合、それは中東のレバノン共和国です。
1943年11月、フランスの委任統治からの独立を宣言した国民議会の議員たちによって手書きでデザインされました。赤白赤の横縞構造ですが、縞の幅はオーストリアのような均等ではなく、上赤(1):中央白(2):下赤(1)という構成になっています。
中央に鎮座する緑の木は、旧約聖書にも神殿建造の銘木として幾度も登場する「レバノン杉(Cedar of Lebanon)」です。数千年を生き抜く強靭さと永遠の生命力、平和の象徴であり、過酷な紛争の歴史を乗り越えてきたレバノン国民の不屈の誇りを表現しています。上下の赤は独立のために流された尊い犠牲者の血を、白い地はレバノンの山々に降り積もる清らかな雪と平和を象徴しています。

【実態検証】国際舞台やSNSで多発する「似ている国旗の混同」現場のリアル
国際的なメガイベントの現場では、赤白赤の国旗を巡る誤認トラブルが定期的に発生しています。国際スポーツ連盟の運営関係者やテレビ中継スタッフの間でも、国旗データの取り違えは常に警戒されるヒューマンエラーの上位に位置します。
SNSやネット掲示板上でも、以下のような混乱の声が日常的に散見されます:
- 「アルペンスキーの中継を見ていて、オーストリアの選手とラトビアの選手の国旗アイコンが画面の縮小表示だとほぼ同じに見える」
- 「ペルーの民間旗(マークなし)を見て、カナダのマークが抜け落ちたエラー旗だと勘違いした」
- 「インドネシアとオーストリアの名前と旗が脳内でごちゃ混ぜになっていた」
特にデジタル端末の小さな絵文字(Emoji)や favicon では、ラトビア国旗の白線の細さやカーマインレッドの深みが潰れてしまい、オーストリア国旗と識別不能に陥るケースが多発しています。正確な知識を持たない場合、解像度の低い映像環境ではプロの記者ですら誤認しかねない構造的リスクを孕んでいます。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|「赤白赤」の起源と色彩心理学
ネット上のQ&Aサイトやまとめ記事では、「オーストリアとラトビアは同じ戦争の逸話から国旗を共有している」という誤った情報が一部で流布されています。しかし、前述の通りオーストリアは12世紀の十字軍(中東)、ラトビアは13世紀のリヴォニア年代記(バルト海沿岸)と、成立年代も舞台となった地域も全く異なる独立した歴史事実です。
なぜ世界各地でこれほど「赤・白・赤」という組み合わせが自発的に選ばれたのでしょうか。色彩心理学および旗章学の分析によると、以下の3つの普遍的心理が働いています:
- 最高峰のコントラストと視認性:波長が長く遠方からでも目立つ「赤」で、最も明度の高い「白」を挟み込むことで、戦場や航海中の遠距離からでも即座に認識できる視認性が確保されます。
- 死生観と純潔の対比:赤は「国土を守るために流された血・勇気・生命力」を象徴し、白は「平和・純潔・神の加護・雪」を意味するという、人類共通の象徴体系が存在します。
- 紋章学の配色規則(ティンクチャーの法則):西洋の紋章学では「原色(赤・青・黒など)の上に原色を重ねてはならず、必ず金属色(白=銀、黄=金)を挟む」という厳格な視認性ルールがあり、赤白赤のストライプはこの規則を完璧に満たしています。
【プロの結論】旗章学(ベキシロロジー)の視点から学ぶ識別と鑑賞の判断基準
世界中の国旗を瞬時に見分け、デザインの背景を楽しむための実践的な判断フローを提示します。
1秒で迷いを断ち切る「赤白赤国旗」の識別チャート
- STEP 1(ストライプの向き):縦縞なら「ペルー」(無地または国章)か「カナダ」(カエデの葉)。横縞ならオーストリア、ラトビア、レバノンへ。
- STEP 2(シンボルの有無):横縞で緑の木(レバノン杉)があれば「レバノン」。シンボルがなければオーストリアまたはラトビア。
- STEP 3(色と白線の幅):鮮やかな赤で3本均等なら「オーストリア」。深みのある暗い赤で白線が細ければ「ラトビア」。
国旗は単なる記号ではなく、その国家が辿ってきた戦争、独立、自然環境、国民的アイデンティティが凝縮された「視覚的歴史書」です。画面の向こうに掲げられた国旗のディテールに目を凝らすことで、国際情勢やスポーツの勝負の背景にある文化の重みをより深く味わうことができます。
【赤白赤の国旗】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:オーストリア国旗とラトビア国旗の最も簡単な見分け方は?
A1:中央の「白い線の太さ」と「赤の明るさ」です。白線が赤と同じ太さで鮮やかな赤ならオーストリア、白線が細くワインレッドのような暗い赤ならラトビアです。
Q2:ペルーの国旗にマーク(紋章)があるものとないものがあるのはなぜ?
A2:用途による法的区別があるためです。一般市民が使用する「民間旗」はマークなしのシンプルな縦縞ですが、大統領府や軍などの国家機関が掲揚する「公用旗・軍用旗」には中央に国章が描かれます。
Q3:赤と白の2色だけでできた国旗は他にもたくさんありますか?
A3:はい。上下2分割のインドネシア(上赤下白)、モナコ(上赤下白・比率違い)、ポーランド(上白下赤)や、赤地に白十字のスイス、白地に赤丸の日本(日の丸)など多数存在します。赤白赤の「3層構造」と混同しないよう注意が必要です。
Q4:カナダの国旗はなぜ「赤白赤」の配色になったのですか?
A4:赤と白は1921年にイギリス国王ジョージ5世によって公式にカナダの国色(ナショナル・カラー)として宣言された歴史があります。中央の白地はフランス王家の白、左右の赤はイギリスの聖ジョージ十字の赤を象徴し、二大ルーツの融合を意味しています。
まとめ:デザインの背景にある歴史を知れば国際ニュースがもっと面白くなる
「赤白赤」という共通のカラーコードを持ちながらも、各国の国旗は異なる歴史的必然性と哲学的意味合いを帯びて今日に至っています。オーストリアの戦士の伝説、ラトビアの古代年代記、ペルーの解放のフラミンゴ、レバノンの不屈の巨木、そしてカナダの多文化統合のメイプルリーフ——それぞれの旗には、その地で生きてきた人々の誇りと誓いが込められています。
今後、国際大会の表彰台や首脳会談のニュース映像で赤白赤の旗を目にした際は、ぜひストライプの向きや色彩の陰影、刻まれたシンボルの細部に注目してみてください。わずか数秒の観察で、その国の歩んできた壮大な物語が鮮やかに浮かび上がってくるはずです。 (出典: 赤 白 赤 国旗(Yahoo!ニュース))